いきなりですが、不倫とは何でしょうか?
また、どこからが不倫で、どこまでが不倫ではないのでしょうか?
不倫の境界線は配偶者同士の感覚の問題でもありますが、法的にはどういった定義があるのでしょうか。
今日は不倫の法的な境界線についてお話したいと思います。
目次
不倫とは
日本の法律において、不倫とは「不貞行為」と言います。
不貞行為とは配偶者がいる既婚者が、自由意志で他の異性と性交渉、つまりセックスする事を意味します。
恋愛感情の有無は関係ありません。
逆を言えば、それ以外の行為は不倫ではありません。
あくまでも肉体関係の有無がポイントになります。
不倫の法的な境界線
上に述べたように、不倫とは配偶者以外の異性と自由意志で性交渉することを意味するとお話しました。
これが法律的な不倫の解釈になります。
これを踏まえて以下具体例を挙げながら見ていきましょう。
イチャイチャしているだけの男女関係
既婚者が配偶者以外の異性と手をつないだりハグしたり、キスしたり・・・
しかし、セックスはしない場合の男女関係はどうでしょうか?
これは不貞行為とはみなされません。
あくまでも不貞行為の法的な判断基準は肉体関係があったかどうかにあります。
過度なボディタッチであっても同様に不貞行為にはなりません。
つまり、この場合は不倫とはみなされないのです。
初対面の相手とワンナイトラブ
既婚者が飲食店などで初対面の人と意気投合してお酒を飲み、その後ラブホテルで肉体関係を持ったとします。
これはどうでしょうか?
これは不貞行為とみなされます。
初対面だからという理由は不貞行為と無関係です。
会った回数は関係ないのです。
ただし、一夜限りの肉体関係が離婚事由となり得るケースはなかなかありません。
離婚事由となるのは、継続して複数回にわたり肉体関係を持った場合です。
酔った勢いでの肉体関係
既婚者が酔った勢いでの一夜限りの肉体関係も不貞行為に該当します。
お酒を飲んでいたとしても、肉体関係を持った場合は不倫をしたとみなされるのです。
酔っていて覚えていないという言い訳は基本的に通用しません。
無理やり飲まされたのであれば話は別ですが、自分の意思でお酒を飲み、その雰囲気でベッドインというパターンは不倫とみなされます。
風俗店の利用
風俗店は利用客がお金を払って性的サービスを受けるものです。
それでは風俗店の利用に関してはどうでしょうか?
風俗店の利用は不貞行為に該当します。
自分の意志で性的サービスを受けるため、法律上の不貞行為になるのです。
お金を支払ったから、あくまでもサービスを受けたに過ぎないなどと言ったところで、不貞行為に変わりありません。
風俗店の利用が配偶者にバレた場合、損害賠償請求の根拠となる場合があります。
肉体関係があっても不倫とならない場合
配偶者以外の異性と肉体関係があったとしても、不倫とは認められないケースがあります。
それに該当するのは以下のような場合です。
脅迫、レイプ
配偶者が何らかの脅迫を受けたり、レイプされて肉体関係を持った場合、これは自由意志に基づくものではありません。
よってこの場合は不貞行為に当てはまりません。
ただし、自分が加害者となった場合は犯罪になるケースがあるため注意が必要です。
すでに夫婦関係が破綻している場合
長期にわたる別居やセックスレスなど、以前より夫婦関係が破綻しており、その上で異性と肉体関係を持った場合、不貞行為には該当しません。
しかし、一時的な不仲や、家庭内別居などでは夫婦関係が破綻しているとは言えないので注意して下さい。
不倫発覚から3年以上経過している
不貞行為を理由とする慰謝料請求の消滅時効期間は、不貞行為の事実と加害者(浮気の当事者が誰か)を知ってから3年間です。
ただし、発覚後も不貞行為がずっと継続しているときは、理屈の上では最後の不貞行為のときから時効がスタートします。
不倫の一般的な境界線
以上が不倫の法的な境界線です。
それでは不倫の一般的な境界線はどうでしょうか?
ここで言う一般的な境界線とは、社会的、一般的感情論的な境界線のことを指します。
これは法的なそれとは少し異なるようです。
それでは当サイトの読者の意見を踏まえながら見ていきましょう。
(当サイトの読者男女100名に協力していただきました。)
キス
Q.キスは不倫になりますか?
しかし、キスしたら不倫していると判断する人は非常に多いです。
キスをしたらセックスまでしてもおかしくないと思うのでしょう。
日本人は挨拶代わりにハグやキスをする文化がないため、キスのハードルは高めです。
手をつなぐ
Q.手をつなぐのは不倫になりますか?
アンケートでは若干ながら不倫と考える人が多いという結果になりました。
手をつなぐ=深い関係にある、と考える人もいます。
その一方で手をつなぐことは特別なことではないと考える人もいます。
基本的に異性に対するボディタッチ(抱き合ったり、腰に手を回すなど)に相当する行為は友人知人関係よりも少し深い関係と思われるようです。
つまり、ある程度好意を抱いていると考えられています。
また、手をつなぐ時のつなぎ方に関しても捉えられ方が異なります。
握手つなぎ、つまり、人と握手するようなつなぎ方は許容範囲とされる場合が多いですが、恋人つなぎ(それぞれの指を絡め合うつなぎ方)は一線を超えている、不倫とみなされる場合が非常に多くなります。
手のつなぎ方によって男女関係の深さが見えてくるというのは興味深いものです。
デートをする
Q.デートは不倫になりますか?
映画やショッピング、美術館など、どこで何をするかは人それぞれですが、配偶者がいるのにも関わらず、異性と二人きりで出かけるという事は不倫をしていると思われる場合が多いです。
逆に複数でのグループデートは友達関係での付き合いとして認められるケースが多くあります。
ただし、共通の習い事や趣味などを持っている場合、目的が相手と会うことではないような場合は不倫の疑いがないと考えられることもあります。
食事
Q.異性との食事は不倫になりますか?
異性の友人であれば不倫を疑われるケースが多いです。
しかし、職場の同僚と仕事帰りに行く食事は問題ないと判断されるようです。
つまり、食事に行く理由も一つの判断基準になります。
仕事の付き合いなのか、純粋に食事に誘われ、行きたくていくのかでは不倫を疑われる割合に差が出ます。
【参考】
余談ですが、不倫の中で一番多いのは「職場不倫」です。
つまり、職場の異性の同僚と食事に行くという行為は実際のところ、不倫している可能性が大いにあるため注意が必要です。
LINEのやりとり
Q.異性とのLINEのやりとりは不倫になりますか?
連絡くらい問題ないと許容する人と、二人が不倫をするきっかけになりかねないとして認めない人がいました。
また、連絡のやりとりを許容する人でもその相手の素性はしっかり説明してほしいという意見が多くありました。
SNSやオンラインゲーム内でのやりとり
Q.異性とのSNSやオンラインゲーム内でのやりとりは不倫になりますか?
しかし、実際のところ、これらは不倫の温床とも言われ、限りなく黒に近いです。
このきっかけは入り口が緩いですが油断できません。
特にオンラインゲームに関しては、ゲーム内において、年齢性別はもちろん、彼氏彼女、夫婦関係などの設定もあり、よりリアルな不倫関係に近いものもあります。
このような仮想世界の関係が現実世界においても再現されることは多く、近年の不倫のきっかけに大いに影響しています。
不倫を決定づける証拠
不倫の法的な境界線に関しては上記に説明した通りですが、その不倫を証明するということはまた別の話です。
言葉ではいくら定義されても、現実問題として不倫を決定づける証拠がない限り不倫を証明することはできません。
それでは不倫の証拠になるものはどんなものがあるのでしょうか。
ホテルなどの密室での長時間滞在
ポイントとなるのは、「性交渉をしたと考えられる時間」です。
10分程度の時間ではセックスをしたとは考えにくいため、不倫の証拠としてはほとんど認められません。
しかし、ホテルにチェックインしてから3~4時間が経過し、そこから出てきた現場を押さえたらそれは有力な証拠になります。
つまり、不貞行為をする十分な時間をホテルで過ごしたかどうかが焦点となります。
また、ホテルと言っても種類はさまざまです。
現実的にはラブホテルは不倫の証拠として有力ですが、シティホテルや不倫相手の自宅などは証拠として認められにくい傾向にあります。
なぜならこれらの場所はセックスを目的とした滞在とは言い切れないからです。
メールやLINEなどで肉体関係があったと思われるやりとり
二人きりで密室で過ごした(セックスをした)というやり取りや写真は不倫を証明する証拠になります。
ハメ撮り動画や写真はかなり重要証拠になります。
ただし、不倫をしている当事者の顔が写っていることが重要です。
逆にキスや手を繋いでいる写真程度では不倫として認められない可能性が高いです。
また、二人が顔を近づけて写っているだけの写真も肉体関係を連想させるわけではないため、不倫の証拠としては不十分なケースが多いです。
付け加えると、このようなメッセージのやり取り自体を証拠とする場合、スマホのスクリーンショットで撮影したものでは比較的弱い証拠となってしまいます。
なぜなら、スクリーンショットの場合は加工や編集がしやすくその跡が残りにくいため、証拠として十分でないと認められるケースがあるからです。
逆に言えば、それを利用して「不倫をしていた」ことにできてしまうため、パートナーと離婚したい人が悪いことに使うことも考えられます。
メッセージのやり取りを証拠として残す場合は、やり取りがわかるスマホなどの画面を別のカメラで撮影したものが効果的です。
本人による不倫を認める供述
不倫を疑い、問い詰め、それを自身で認める音声などは有力な証拠になります。
本人による供述は信憑性も高いと判断され、証拠として認められる可能性が高いです。
逆に、本人がまったく認めない場合は、証拠としては認められないのでその他の証拠が必須になります。
まとめ
いかがでしたか?
どこからが不倫なのかという問題に関しては、感情的な見解と法的な見解では少し認識が異なります。
また、離婚や慰謝料請求の際には法律が基準となるため、不倫を証明する必要があります。
客観的な証拠がない限り、不倫を証明することは困難です。
不倫は非常にデリケートな関係です。
もし、あなたが不倫をしている、されているかもしれない場合、自分の頭の中に客観的な不倫の境界線を入れておきましょう。
重要なのは感情的なものではなく、客観的な事実なのです。